記事紹介

2025.12.03

(日本経済新聞)ふるさと納税の税控除に上限 政府・与党調整、高所得者優遇を是正へ

【URL】

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA300YC0Q5A131C2000000/

【要約】

政府・与党は、ふるさと納税の控除額に上限を設ける方向で調整を進めている。現行制度では控除額に上限がなく、高所得者ほど恩恵が大きくなるため「高所得者優遇」との批判が指摘されてきた。報道によると、控除額の上限を所得税・住民税合わせて約210万円とする案が浮上しており、年収5,000万円超〜1億円超の一部層が対象となる可能性がある。

また、自治体が寄付募集に使える費用(最大5割)についても縮減が検討されている。ポータルサイト手数料が高水準で推移してきたため、費用見直しにより自治体に残る財源が増える見通し。一方、返礼品調達費(寄付額の3割以内)や地場産品要件は維持される方向で、地域経済への波及効果を損なわない制度運用が続けられるとしている。

【コメント】

今回の報道によると、高所得者の控除上限設定は、制度の公平性を確保するための合理的な調整であり、寄付全体への影響は限定的と考えられる。対象となるのは年収5,000万円超〜1億円超の極めて少数の所得層であり、人口規模からみても寄付額全体を大きく押し下げる要因にはなりにくい。一方で「逆進性」への批判を緩和し、制度の持続可能性を高める効果は大きく、制度運営の安定化に資する措置と評価できる。

また、募集費用(最大5割)については縮減方向が示されており、特にポータルサイト手数料の高止まりが課題となってきた。費用構造の見直しにより手数料水準が適正化されれば、自治体に残る原資が増え、より地域施策に充てられる財源の確保につながる点は重要である。これは制度の公共性を高める方向性と整合的である。

一方で、返礼品調達費(3割以内)や地場産品要件は、地域経済への波及効果を踏まえ維持される見通しであり、制度本来の「地域の自立的発展を促す」という趣旨を損なわないバランスが保たれている。過度な募集競争を抑えつつ、地域産業への裨益効果は確保するという政策姿勢が明確に示されたといえる。

総じて、今回の方向性は「公平性」「費用構造の適正化」「地域経済の振興」という三点を両立させようとするものであり、制度の安定運営に向けた総務省として妥当な調整と評価できる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ふるさと納税制度に関する情報共有にご協力いただけますと幸いです。
近年、ふるさと納税制度における法令違反が相次いでおり、自治体が指定取消となる事例が増加しています。
私たちは、こうした事態を未然に把握し、自治体が指定取消に至るリスクを低減したいと考えております。
以下のフォームにて、無記名で情報をご提供いただけます。

https://forms.gle/sMFG6kd5vbff8zuZ7
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

株式会社ふるさと納税総合研究所
当社はふるさと納税制度のシンクタンクです。総務省、自治体、関係企業と連携しふるさと納税の価値や有用性を発信しています。
また、総務省様、自治体様、関連企業様への助言やコンサルティング業務を通じてふるさと納税の持続的で健全な発展を目指します。
業務や取材をご依頼の方はお問い合わせフォームからお願いいたします。

https://fstx-ri.co.jp/contact
代表取締役社長 西田 匡志(中小企業診断士)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  • URLをコピー