〜令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)を独⾃に分析〜
⾃治体⼈⼝に占める「ふるさと納税に係る寄附⾦税額控除」のうち市町村⺠税控除対象者の割合を分析しました。30⾃治体のうち、23⾃治体は東京都の⾃治体となりました。1位の東京都千代⽥区では21.69%、2位の東京都中央区では21.12%、3位の東京都港区では17.93%となりました。1位、2位では⼈⼝の2割以上がふるさと納税を実施していました。東京都⾃治体以外では千葉県浦安市が11.71%、兵庫県芦屋市が11.18%、⼭梨県忍野村が10.81%、愛知県⻑久⼿市が10.77%、と上位に⼊りました。⽇本全体では5.98%となっています。
分析の背景
ふるさと納税制度は、寄付者の収⼊が⾼いほど寄附による税⾦控除上限の額、率ともに⾼まります。ふるさと納税を積極的に活⽤する⼈は、収⼊の⾼いいわゆる富裕層が多いのではないかと⼀般的には推測されていました。今回のレポートでは、⾃治体⼈⼝に占める「ふるさと納税に係る寄附⾦税額控除」のうち市町村⺠税控除対象者の割合を分析します。市区町村ごとにふるさと納税の利⽤率を⾒ていきましょう。
■1位から10位
上位10⾃治体は全て東京都23区の⾃治体で占められています。上位3⾃治体は昨年と変わっていません。
■11位から20位
17位の千葉県浦安市、20位の兵庫県芦屋市以外は全て東京都の⾃治体となりました。東京都の特別区では世⽥⾕区のふるさと納税利⽤者数が最も多くなりました。
■21位から30位
この上位30⾃治体の中では、川崎市のふるさと納税利⽤者数が最も多くなっています。⼈⼝1万⼈以下の⼭梨県忍野村が21位の10.81%となっています。
■⽇本総⼈⼝に占める市町村⺠税の控除⼈数割合
令和3年度は令和2年度より増加しています。伸び率は134.38%となりました。
今回の分析を通じて
情報サイトなどによる⾃治体別の平均所得額と⽐較すると、平均所得額が多ければふるさと納税の利⽤率も増加する傾向が分かりますが、全くの同⼀ではありません。所得以外に考えられる理由として、ITリテラシー、情報収集能⼒や⽣活環境がありそうです。ただ、やはり東京都に利⽤率が⾼い⾃治体が集中しています。制度の意図である「今は都会に住んでいても、⾃分をはぐくんでくれた「ふるさと」に、⾃分の意思で、いくらかでも寄附できる制度があっても良いのではないか」(出典:総務省「よく分かるふるさと納税>そもそも何のために作られた制度なの?」より)という流れにはなっているようです。
東京都内の⾃治体は、住⺠税の外部流出を問題視しています。しかしその思いとは反対に、都⺠の意識はふるさと納税の積極活⽤に向いているようです。ふるさと納税を⾝近に活⽤する住⺠を抱える⾃治体ほど、両者の意識差は難しい問題であるといえます。
⽇本全体を⾒てもふるさと納税の利⽤率は、令和2年の4.45%から令和3年の5.98%へと確実に上昇しています。この利⽤率は今後も⾼まることが予測されます。⾃治体にとっては、「いかに外部から寄附を集めるか」ということ以外にも、「⾃らの住⺠といかに向き合っていくか」ということも考えていかねばならない時期が迫りつつあるのかもしれません。
社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:⼤阪府⼤阪市
代表取締役:⻄⽥ 匡志(中⼩企業診断⼠、総合旅⾏業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、アドバイザリー、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/
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