レポート

2022.08.26

『調査レポート』令和3年度ふるさと納税における経済波及効果は2兆8,044億円となりました。

〜令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)等から独⾃の計算結果〜
令和3年度ふるさと納税における⽇本全体の経済波及効果は、2兆8,044億円の推計となりました。全⾃治体のふるさと納税受⼊額8,302億円に対し約3倍以上の効果があったことになります。令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)からサンプル4団体を抽出しての計算結果となります。(計算協⼒ 理化学研究所 客員研究員 江頭満正)

分析の背景

⽇本に数ある税制の中でも特にふるさと納税制度は経済効果が⼤きいのではないかと考えられていました。その理由として、寄付⾦がそれぞれの⾃治体の細やかなニーズに合った使われ⽅をすること、返礼品の⽣産や販売を通じて地域産業や⽂化の活性化につながることが挙げられます。特に返礼品については、⽇本全体での返礼品数は40万点以上、返礼品提供事業者は5万社以上とも⾔われています。寄附額のうち返礼品の調達額は30%以内と定められているものの、これ以上の経済効果があるのではないかと推測されてきました。
ふるさと納税制度の有⽤性について多くの⽅々の認識と理解が深まりますよう、今回のレポートではこれまで未知であった本制度がもたらす経済波及効果を計算、分析しました。

経済波及効果の計算

1 令和3年度 ふるさと納税制度による受⼊⾦額

表1 令和3年度ふるさと納税

総務省の「令和3年度受⼊額の実績等」を基本データとして使⽤。その概要を表1にまとめました。

2 計算サンプル抽出⽅法

表2 サンプル抽出

総務省の「令和3年度受⼊額の実績等」によると、令和3年にふるさと納税制度によって寄付を受けた⾃治体は1,786団体あり、この全ての経済波及効果を計算するのは、作業⼒が膨⼤になるため、4⾃治体をサンプルとしました。基準は以下の通りです。受⼊額上位10%の平均値に最も受⼊額が近い団体「福岡県福智町」。受⼊額中央値上位5%と下位5%の平均値に最も受⼊額が近い団体「⾹川県丸⻲市」。受⼊額全国平均の上位5%と下位5%の平均値に最も受⼊額が近い団体「北海道浦河町」。受⼊額下位10%の平均値に最も受⼊額が近い団体「千葉県東庄町」。としました。

3 返礼品の産業分類
サンプル4団体が何を返礼品として寄付者へ送付しているか確認しました。

表3 返礼品カテゴリー
(引⽤ ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」https://www.furusato-tax.jp/の4団体のページより。調査⽉2022年8⽉)
表3の内容を、⽇本標準産業分類⼀覧(中分類)に分類を⾏いました。

4 寄付⾦の使途
サンプル4団体がふるさと納税制度によって受け取った寄付⾦の使途を確認しました。サンプル4団体はその詳細をWEBサイトに掲載しており、正確な⾦額を把握することが出来ました。この使途明細を⽇本標準産業分類⼀覧(中分類)に沿って分類を⾏いました。

5 経済波及効果計算
サンプル団体ごとに計算を⾏いました。都道府県により⾃給率、取引内容などが異なるためです。また都道府県によって、オープンソースとなっている産業分類数が異なります。福岡県の場合13部⾨と39部⾨と106部⾨です。⽇本標準産業分類(中分類)は94分類であるため、福岡県の場合は39部⾨に適合するように統合を⾏う必要があるります。
ふるさと納税制度を要因として発⽣した経済活動は、①個⼈から⾃治体への寄付、②⾃治体から寄付者への返礼、③寄付を受けた⾃治体による寄付⾦使途です。よって「ふるさと納税額」の2倍が「最終需要額」となっています。「直接効果」は国内⾃給率などで換算した数位、これに⼀次波及と⼆次波及を加えて、経済波及効果といます。

経済波及効果計算結果(千円)

サンプル4団体の計算結果から、ふるさと納税額を基準とし、各事項の⽐率を算出し、⽇本全国で令和3年に実施されたふるさと納税受⼊額で計算を⾏いました。

全国 ふるさと納税経済効果

サンプル4団体の計算結果から類推した結果⽇本全体の経済波及効果は、2兆8,044億円となります。(推計)ふるさと納税受⼊額8,302億円から3倍以上の効果があったことになります。
(計算協⼒ 理化学研究所 客員研究員 江頭満正)

今回の計算、分析を通じて

2兆円を超える⼤きな経済波及効果が計算されました。ふるさと納税受⼊額の3倍以上です。ふるさと納税で⽇本を元気に!、のスローガンが⽇本国⺠からの⽀持を得て、順調に拡⼤しています。

ふるさと納税の3つの⼤きな意義(出典 総務省ふるさと納税ポータルサイト)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/

第⼀に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ⽅を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が⾼まり、納税の⼤切さを⾃分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
第⼆に、⽣まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも⼒になれる制度であること。それは、⼈を育て、⾃然を守る、地⽅の環境を育む⽀援になります。
第三に、⾃治体が国⺠に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、⾃治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり⽅をあらためて考えるきっかけへとつながります。

これらの実現に加えて、当初制度には含まれていなかった「返礼品」という⽇本独⾃の贈答⽂化により、地⽅と都会を結び、⼤きな経済波及効果が創出され、ふるさと納税が地⽅創⽣につながっていることが分かりました。今後も⾃治体、返礼品提供事業者、関連事業者、寄付者の関係や意識の深まりにより、ふるさと納税制度が健全に発展していくことを願っています。

社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:⼤阪府⼤阪市
代表取締役:⻄⽥ 匡志(中⼩企業診断⼠、総合旅⾏業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、アドバイザリー、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/


株式会社ふるさと納税総合研究所のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/104918

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