【記事URL】
https://www.nishinippon.co.jp/item/1365189/
【要約】
佐賀県大町町で、ふるさと納税業務の委託先選定を巡る贈収賄事件が発覚し、農林建設課副課長・古賀壮容疑者(60)が加重収賄の疑いで逮捕された。副課長は、コンサル会社「オフィスPDC」の代表・米原容疑者に、公募プロポーザルの審査資料である他社の企画提案書を不正に提供し、現金10万円の謝礼を受け取った疑いがある。古賀容疑者は町長に対し、「実績のある会社を勝たせたかった」と説明していた。また、町によれば、カニを受け取ったことは認めているが金銭の授受は否定している。同社はかつて嘱託職員を務めた米原容疑者が代表を務め、2022~23年度に業務を受託していたが、2024年度は落選。その後、町がポータルサイトの画像削除などで刑事告訴していた。
【コメント】
本件は、公募型プロポーザルの公正性を著しく損なう重大な不正行為であり、ふるさと納税制度全体の信頼を揺るがしかねない深刻な事案です。特に「勝たせたい」という私情を背景に審査資料を外部業者に流出させた点は、明確な入札談合に該当し、制度の透明性確保の観点からも看過できません。
また、贈収賄の構図に加え、業務委託から外れた後にポータルサイトから画像やレビューを削除するという報復的行動まで起きており、単なる個人間の癒着ではなく、委託業者と自治体の力関係の不均衡が浮き彫りになっています。
今後、自治体は以下の対応が求められます:
公募プロポーザルにおける情報管理の徹底(鍵のない引き出しに保管という管理体制は論外)
審査プロセスの記録化・監査制度の強化
業務委託における従業員の倫理教育と契約時のコンプライアンス条項の明記
この事件を契機に、ふるさと納税業務の選定に関するガバナンス強化と情報統制の再構築が全国的に進むべき局面にあると考えます。
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株式会社ふるさと納税総合研究所
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