レポート

2022.08.04

『分析レポート』令和3年度ふるさと納税寄付額の自治体別寄付額単価を分析しました。

〜令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)を独⾃に分析〜
ふるさと納税の寄付額単価は減少傾向にあります。ふるさと納税が⼀部の富裕層の⽅だけではなく、裾野が広くなったことが理由と考えています。寄付額が増加し単価が減少すると件数が増加し⾃治体の業務も増加します。今回寄付額単価に着⽬し、寄付⾦額別⾃治体別を分析してみました。30億円以上の⾃治体は、愛知県幸⽥町、10億円以上30億円未満では⻑野県軽井沢町、10億円以下では東京都江⼾川区、がそれぞれ⼀位となりました。

分析の背景

ふるさと納税の件数が増えると、⾃治体と寄付者の接点の増加につながり、増えた分だけ⾃治体名が認知されます。移住定住等の、寄付⾦が増加する以外の間接的な効果につながる可能性もあります。さらに、ワンストップ制度の5⾃治体に⼊っておきたいと戦略的に考える⾃治体もいます。このような状況下で、あえて単価に着⽬したのは、返礼品としての付加価値や⾃治体への愛着度を考えたからです。地⽅には魅⼒的な地域産品が数多くあります。その魅⼒を価格以外で寄付者に伝えていくことは意外に難しい課題です。また、返礼品を不要でも⾃治体に寄付したい⽅もおられます。このような背景から寄付額単価の分析を⾏いました。

「令和3年度ふるさと納税寄付額の⾃治体別寄付額単価を分析」の主な結果

■1位から20位(寄付額30億円以上)
10億円から30億円の⾃治体グループと⽐較すると興味深い結果になりました。幸⽥町以外においては、寄付額の単価が⾼くないことが分かります。寄付単価の⾼い返礼品の⾃治体に寄付できる層がかなり限られると想定できます。令和3年度寄付額が⼀位であった紋別市の単価は約13,000円であったことも参考にすると、低単価でも⾼単価でも幅広く⽀持される返礼品をラインアップすることが⼤切と考えます。
⼀位の幸⽥町は寝具の有名ブランドであるエアウィーブが⼈気です。集中してこのブランドをポータルサイト上で丁寧に表現しており、プロモーションも積極的に⾏なっています。エアウィーブを返礼品として提供している⾃治体は他にもありますが、マーケティング⼒で差がついているようです。9位の富⼠吉⽥市はこちらも寝具である⽻⽑ふとんが主⼒の返礼品です。⼭梨はフルーツ王国でありその他産品も豊富であることから単価を押し下げているようですが、寄付額は70億円を超えています。

寄附単価比較:寄附受入額3,000百万円以上自治体

■1位から20位(寄付額10億円から寄付額30億円未満)
寄付額単価が⾼いグループとなりました。軽井沢町は⾃治体ブランドランキング上位であり、インターナショナルスクールのクラウドファンディングも⾏なっていることから返礼品のない⾼額の寄付が多いようです。それ以外では、旅⾏、家具、家電、寝具、貴⾦属類といった返礼品を⽤意する⾃治体が⽬⽴っています。2位の箱根町、7位の熱海市、9位の豊岡市、11位の神⼾市は旅⾏会社の旅⾏クーポンを積極的に活⽤しています。4位の⽇⽴市、6位の⼤東市、8位の飯⼭市は地域で製造された家電が主⼒です。名古屋市は⼤都市でありながらその産地特性を活かし名バーミキュラやMTGなどの有名ブランドを返礼品で提供し始め、寄付額も拡⼤しています。

寄附単価比較:寄附受入額1,000-3,000百万円自治体

■1位から20位(寄付額10億円未満)
このグループは地元の⽅や⾃治体の出⾝者の⽅々が、返礼品を⽬的とせず純粋に多額の寄付を⾏なっていると思われます。東京都の⾃治体が50%を占めています。

寄附単価比較:寄附受入額1,000百万円以下自治体

■全国⾃治体の寄付平均単価の推移
寄付の全国平均単価は平成30年から令和3年度まで減少しています。コロナ禍においてEC化率の上昇と共にふるさと納税利⽤者も増加し、⼀部の富裕層だけではなく⼀般層まで裾野が広がっていると考えられます。

平均単価の推移(単位:円)

今回の分析を通じて

寄付額単価はその⾃治体の返礼品特性によって⼤きな差がありました。また、1万円の寄付の返礼品数が⼀般的には最も多いのですが、寄付額単価を1万円ではなく2万円から4万円程度とより⾼く⽬標にした⽅が、寄付額の最⼤化を⽬指せると考えられます。しかし、今回の寄付額単価は1回あたり寄付の単価であり、⼀⼈当たり寄付額単価ではありません。⼀⼈当たり寄付額単価を調べることができれば、別の仮説を導き出せるかもしれません。今後、調査を⾏なってまいります。

<ふるさと納税総合研究所につきまして>
ふるさと納税の健全な発展を⽬指すべく、⾃治体、関係企業と連携しながら、ふるさと納税の価値や有⽤性を発信し、また助⾔を⾏ってまいります。

社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:⼤阪府⼤阪市
代表取締役:⻄⽥ 匡志(中⼩企業診断⼠、総合旅⾏業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp


当プレスリリースURL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000104918.html
株式会社ふるさと納税総合研究所のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/104918


【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
株式会社ふるさと納税総合研究所
専⽤電話番号 080-8131-1908
メールアドレス nishida@fstx-ri.co.jp

  • URLをコピー