【URL】
https://mainichi.jp/articles/20251219/k00/00m/010/308000c
【要約】
・2026年度与党税制改正大綱において、ふるさと納税の見直しが決定された。
・年収1億円以上の高額所得者を対象に、所得税・住民税の控除額に上限を設定する。
・控除額の上限は193万円とされ、独身または共働き世帯で年収1億円の場合、寄付上限額は438万円となる。
・高額所得者ほど制度の恩恵が大きいとの批判を背景に、応能負担の観点を強める制度改正である。
・あわせて、自治体が寄付募集に充てられる費用割合を、現行の最大5割から最大4割へ引き下げる。
・仲介サイト手数料の増大など、自治体間競争の過熱を抑制する狙いが示されている。
【コメント】
今回の改正は、ふるさと納税が「高額所得者ほど有利な制度になっている」という長年の批判に対し、初めて明確に踏み込んだ内容といえます。特に年収1億円以上を対象とした控除上限の設定は、制度の公平性を一定程度担保する一方で、今後は「寄付額そのものの上限」や「寄付受入総量のコントロール」といった議論へ発展していく可能性を強く示唆しています。
また、募集費用割合を4割に引き下げる方針は、単なる経費削減ではなく、自治体自らが返礼品の適正性、地場産品基準、募集適正基準をより主体的かつ厳格に管理することを求めるメッセージと受け止めるべきです。これまで以上に、産地偽装、3割5割ルール違反、過度な広告施策といったリスクへの目配りが不可欠となり、事業者任せの運営は許容されにくくなります。
さらに、高額所得者への制限と募集費用の抑制が同時に進むことで、寄付総額の伸びにブレーキがかかる局面も想定されます。その場合、単なる返礼品競争ではなく、寄付の使い道の明確化やクラウドファンディング型ふるさと納税など、政策目的と結びついた寄付の重要性が一層高まるでしょう。制度の持続性を確保するためにも、自治体には短期的な寄付額最大化ではなく、法令遵守と説明責任を前提とした中長期視点の運営が求められる段階に入ったといえます。
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