レポート

2022.12.14

『ふるさと納税分析レポート』令和3年度ふるさと納税寄付額を 「宮崎県の20⾃治体」にて分析しました。最⼤と最⼩の⾃治体で ⽐較すると寄付額の差は2,020倍となりました。

〜令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)を独⾃に分析〜
令和3年度の寄付額は宮崎県が全47都道府県の中で2番⽬に⼤きくなりました。⾃治体数が26と他の都道府県と⽐較して少なく、1⾃治体あたりの寄付額も全国平均寄付額の3倍以上と上回っています。また、宮崎県の30%の⾃治体が10億円を超えた寄付を集めていました。先⽇の北海道レポートの最⾼位と最⼩位の寄付額の差は11,493倍でした。宮崎県はそれと⽐較すると⼩さいながらも2,000倍を超えています。

分析の背景

都道府県において寄付額には⼤きな差があります。また、都道府県の⾃治体毎に分析をすることで寄付額の現状を把握し、寄付単価や寄付件数なども分析の対象とすることで、ふるさと納税の傾向を探ります。今回は宮崎県を分析します。宮崎県は、ふるさと納税で3度⽇本⼀になった都城市や残念ながら指定除外になってしまった都農町など、全国的に有名な⾃治体が揃っています。では、具体的に⾒ていきましょう。

宮崎県と全国平均との⽐較

1⾃治体あたりの平均寄付額も平均件数も全国⾃治体の平均を⼤きく上回っています。平均単価も全国平均を若⼲上回っています。1億円をこえる⾃治体が全体の84%となり、北海道の60%と⽐較すると、宮崎県のそれぞれの⾃治体はおしなべての寄付額を集める⼒が⼤きいと感じます。宮崎県の県⺠性はのんびりしている、闘争⼼がない、などと評されることも多いのですが、ふるさと納税では真逆のように、寄付額競争がとても激しくなっています。

1自治体あたりの寄附獲得状況の比較

1位から10位

平成27年、平成28年、令和2年と3回も寄付額⽇本⼀に選ばれた都城市を取り上げてみます。国内トップクラスの寄付獲得実績はマーケティングの基本を忠実に進めた結果と考えています。平成25年頃から、⾁と焼酎に特化してプロモーションを開始しています。都城市は宮崎⽜や焼酎では⽣産量も多く当然と⾔えるかもしれません。⼀般的に⾃治体は⾃らの返礼品を平等的に取り扱うことが多いものです。しかし都城市は上記の返礼品に特化するという⾮常にインパクトの強い訴求⽅法を採⽤しました。しかも当時は返礼品が寄付額の3割以内という法律はなく、8割もの還元率で返礼品を提供しており、ダントツの価格競争⼒でした。⾃治体トップの強いこだわりや現場の優秀なスタッフの努⼒が、今のふるさと納税における都城市のポジションを確⽴しました。

トップダウンで、⾃治体平等主義に陥らず、競争⼒のあるカテゴリーに特化、さらに地域産業の⽀援になれば良いとの思い切りでどの⾃治体も当時やっていなかった還元率8割を先⾏して実施。寄付額⽇本⼀になるという⽬標達成に向け徹底した戦略的取り組みであり、他の⾃治体は全く追随できませんでした。

法律の施⾏後、⼤きな逆境になり返礼品提供事業者も苦難がありましたが、返礼品提供事業者の団結の強さもあり常に⼀位争いをする⾃治体になっています。

宮崎県における各自治体におけるふるさと納税活動の状況1

11位から20位

16位の綾町を取り上げます。ユネスコエコパークに登録されているほど、⾃然と共⽣した美しい町です。ふるさと納税もかなり古くから⼒を⼊れており、綾町のファン作りを⽬指しています。ふるさと納税総合案内所という⾃治体サイト内のページは⼤変ユニークです。各事業者の詳細な紹介ページだけでなく、定期的に事業者のリーフレットを作成し、寄付者に送付しています。これらのことから、事業者をとても⼤切にしていることがわかります。またツイッター、フェイスブック、インスタグラムにクックパッドまで、SNSを駆使し寄付者との関係性を深めようとされています。このページ上にあるサイトやSNSの関係が記されているイラストも⼤変わかりやすくなっています。

宮崎県における各自治体におけるふるさと納税活動の状況2

20位から26位

21位の三股町は寄付額も⼤きく増加しています。この⾃治体の特筆すべき取り組みとして、寄付の使い道を形式ばることなく丁寧に、しかも漏れなく報告していることが挙げられます。(ふるさとチョイス 寄付⾦の活⽤報告)寄付が⼤きく集まっている⾃治体でもこの項⽬は空欄が⽬⽴っていますが、ふるさと納税の意義を考えた時には最も重要であると⾔えます。継続していただきたいと思っています。

宮崎県における各自治体におけるふるさと納税活動の状況3

分析を終えて

宮崎⽜、鰻、マンゴー、焼酎、豚⾁など、魅⼒豊かな地域産品を豊富に揃えることができている宮崎県。ここではどの⾃治体もそれぞれ強みを持っていることが確認できました。やはり都城市の成功の姿は周りの⾃治体にも良い影響を与えていると考えます。特に隣接する宮崎市、⼩林市、⽇南市の寄付額の伸びはそれを物語っていると考えます。都農町の不在が周辺⾃治体にどのような影響を与えるかは不明ではありますが、返礼品、SNSを使ったファン化、使い道やその報告にこだわっている⾃治体が多く、引き続き宮崎県の各⾃治体の優位は続きそうです。

社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:⼤阪府⼤阪市
代表取締役:⻄⽥ 匡志(中⼩企業診断⼠、総合旅⾏業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、アドバイザリー、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/


株式会社ふるさと納税総合研究所のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/104918

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