【記事URL】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA221T70S5A720C2000000/
【要約】
楽天グループが総務省を相手取り、ふるさと納税の新規制をめぐって行政訴訟を提起した。争点は、仲介サイトによるポイント付与を禁じる省告示が、総務大臣の裁量権を逸脱して違法・無効であるかどうかにある。楽天は、告示が実質的に仲介サイトを規制していると主張。一方、成蹊大・武田教授は裁量逸脱の可能性を認めつつも、訴訟要件を満たさない可能性も指摘している。
本件は、かつて医薬品通販をめぐり楽天傘下が勝訴したケースに続く行政との対立であるが、ふるさと納税制度そのものの根本を問い直す機会ともなっている。現在、寄付総額の約半分が返礼品や手数料に費やされ、制度の「寄付」という理念が形骸化。官製ネット通販のような実態と化しており、利権や汚職の温床ともなっている。制度の趣旨と行政の対応のあり方が問われている。
【コメント】
楽天による行政訴訟は、総務省の告示が仲介サイトの運営を実質的に制限しており、裁量権の逸脱ではないかという重要な論点を提起しています。訴訟の帰結がどうなるにせよ、本件は「ふるさと納税制度のあるべき姿」を改めて問い直す機会となるでしょう。
確かに、ふるさと納税は本来「寄付」を建前とする制度ですが、現実には返礼品という仕組みがあったからこそ、全国の多くの自治体が魅力ある地域資源を掘り起こし、地場産品の振興や観光PRなど、地域活性化に具体的な効果を生んできました。返礼品が「きっかけ」となり、自治体と住民、そして寄付者の三者がつながる仕組みを育んだ意義は見逃せません。
しかし同時に、ポイント競争や中間事業者への過度な依存が制度を歪めている側面も事実です。問題は「返礼品の存在」ではなく、それを過剰な集客手段として制度の本質を損なうような使い方をした一部の運用にあります。
今後は、「返礼品を活用した持続可能な地域づくり」と「制度の公平性・健全性」のバランスをどう取るかが問われます。行政と民間が対立するのではなく、それぞれの立場から制度を成熟させるための建設的な議論と制度設計が求められる局面です。
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