レポート

2022.11.21

『ふるさと納税分析レポート』令和3年度ふるさと納税寄付額を 「北海道の179⾃治体」にて分析しました。最⼤と最⼩の⾃治体で ⽐較すると寄付額の差は11,000倍を超えています。

〜令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)を独⾃に分析〜
令和3年度の寄付額は北海道が全47都道府県の中で最も⼤きくなりました。⾃治体数が179と他の都道府県と⽐較して多いことが理由の⼀つですが、1⾃治体あたりの寄付額も全国平均寄付額より⼤きく上回っています。しかし、上位10⾃治体の合計寄付額は全北海道の合計寄付額の約50%を占めており、最⼤の寄付額であった紋別市と最⼩の寄付額であった島牧村の差は11,493倍と⾮常に⼤きな差となりました。ふるさと納税への取り組みが進んでいる⾃治体とそうでない⾃治体の格差が⼤きく広がっています。

分析の背景

都道府県において寄付額には⼤きな差があります。また、都道府県の⾃治体毎に分析をすることで寄付額の現状を把握し、寄付単価や寄付件数なども分析の対象とすることで、ふるさと納税の傾向を探ります。今回は北海道を分析します。北海道については、⾃治体の数が他の都道府県と⽐較して⾮常に多く存在し、⼈⼝が⼩規模な⾃治体も⽬⽴ちます。ふるさと納税の寄付額においては、⽇本⼀の寄付額を集めた紋別市や全国3位の根室市、4位の⽩糠町とふるさと納税先進⾃治体も揃っています。札幌市、函館市や⼩樽市といった地域ブランドが⾼い⾃治体も多数あり、先進化、多様化していると考えられます。では具体的に⾒ていきます。

北海道と全国平均との⽐較

1⾃治体あたりの平均寄付額は全国⾃治体の平均を⼤きく上回っています。平均単価は全国平均を下回っていました。北海道は主に⾷材が地域産品であることが主な理由と考えられます。特に農産物が中⼼になると寄付単価が特段減少することがあります。海産物も加⼯品となれば調達費⽤も押し下げられており、北海道の⾃治体は主に寄付者数にこだわっていることがわかります。

1自治体あたりの寄付獲得状況の比較

1位から11位

9位の別海町に焦点を当ててみます。前年の約1.5億円からの16倍と⼤きく寄付額を伸ばしています。根室市に隣接しており、本来返礼品の魅⼒が豊かな⾃治体です。ホタテの加⼯も競争⼒があります。返礼品数2,000、ポータルサイト数21と⼀挙に拡⼤し、シズル感のある写真と説明でコンバージョンも上がっていると思われます。もちろん、価格競争⼒もあります。⾃治体の担当者がかなり熱⼼に動かれたものと考えます。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況1

11位から20位

別海町と異なった戦略でユニークなのが、19位の寿都町です。返礼品とサイトを多様化させた別海町とは対照的に寿都町ではサイトはふるさとチョイスのみ、また返礼品数も134にすぎません。しかし、北海道での19位は⽴派です。ふるさとチョイスのランキングではいくらで1位、ホタテで3位になっており、(2022年11⽉14⽇)チョイス限定であることのメリットがしっかり出ています。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況2

21位から30位

29位の余市町は元外務官僚であった⿑藤町⻑がコネクションもフルに活⽤し、返礼品の付加価値を⾼める戦略をとっています。特にワインを戦略的な地域産品としてブランディングを強化しています。世界的に⼈気なピノ・ノワールという品種への集中と、リーデルという有名なワイングラス企業と連携協定の締結が挙げられます。このようにマーケットイン視点での様々な活動を⾏なっています。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況3

31位から40位

31位の秩⽗別町は⼈⼝2,400⼈であり、北海道内の⾯積も2番⽬に⼩さい町です。返礼品数も32と⾮常に少ないですが、ななつぼし、ゆめぴりかの定期便に集中することで、寄付者の囲い込みやリピーターの獲得につなげていっているイメージです。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況4

41位から50位

45位の砂川市は急成⻑している化粧品メーカー「SHIRO」の創業の地であり、主要⼯場があります。その返礼品が⼈気であり、寄付単価が⾼くなっています。今や世界的なブランドになりつつあり、砂川市との連携協定において多⾯的なまちづくりが⾏われています。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況5

51位から60位

51位の仁⽊町がポータルサイト数が18と頑張っています。契約ポータルサイトを増やせば寄付が増えるのかという質問を多くいただきます。これに関しては、⼀概に増えるとは⾔えない⼀⽅で業務効率に関しては間違いなく悪化します。しかしながら、各ポータルサイトもそれぞれの顧客を抱えており、緩やかに寄付額と⽐例する傾向がありそうです。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況6

61位から70位

69位の新冠町に注⽬してみました。⽇本有数の軽種牡⾺の産地です。寄付が集まっているのは、新冠トンネルでの熟成ワインとなっています。海外産であり、返礼品としてどうなのかという意⾒が出てきそうです。せっかくサラブレッドと⾳楽の町として売り出していますので、それらを⽣かした返礼品になれば楽しそうです。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況7

71位から80位

71位の栗⼭町の返礼品サムネイル画像には、⽣産事業者がたくさん写っています。さらに、ふるさとチョイスの⾃治体ページのヘッダーには返礼品の⽣産事業者が40名以上が⼀堂に写っています。栗⼭町がいかに⽣産者を⼤切にしているかが分かります。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況8

81位から90位

国際的なリゾート地でもあるルスツリゾートが位置する88位の留寿都村は、やはりリゾートで利⽤できるクーポンが⼈気になっています。今後、観光も復活してくると思いますので、観光地の⾃治体は⼈気になりそうです。利⽤できる場所が多く有効期限が⻑いような、利便性の⾼いクーポンが寄付者から求められます。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況9

91位から100位

95位の湧別町は寄付単価が11,000円と低くなっています。サロマ湖の特産の牡蠣など⼿軽に寄付ができるようにと配慮されていると思いました。また、寄付の使い道では令和3年度に何を使ったのか、令和4年度に何に使うのかを明⽰されており、こちらにも丁寧さを感じます。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況10

101位から110位

106位の奈井江町の寄付単価が⾮常に⾼いことが⽬⽴ちます。お⽶の定期便の品揃えが豊かであり、しっかりとファンを掴んでいるようです。また、⾃治体ホームページではお⽶の事業者へのリンクを貼っており、事業者の知名度を上げることになります。これは他の⾃治体にはあまりみられない良い取り組みと思います。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況11

111位から120位

120位の⾜寄町では、ジャパンチーズアワードのグランプリに選出された、チーズ⼯房の返礼品が⼈気です。まさにその地で丁寧に職⼈による⼿作りの製品を知ることができるのはふるさと納税の良い点と感じます。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況12

121位から130位

ししゃもで有名な128位のむかわ町ですが、使い道にもこだわっています。丁寧に使い道を記載するだけでなく、恐⻯ワールド推進事業というユニークな使い道も⼈気になりそうです。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況13

131位から140位

北の⼤地の始発駅、140位の⽊古内町ではポータルサイトが当初の調査時点では14だったのですが、このリリースのために再調査した際は19になっており短期間で5サイトも増加させています。返礼品も300を超えており、まだ寄付額は昨年時点では少ないものの、今年度の⼤きな⾶躍を感じさせる内容です。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況14

141位から150位

北海道の南⻄端に浮かぶ海の幸の宝庫・奥尻町は143位でした。返礼品数そのものは67とそれほど多くありませんが、厳選された魅⼒的なブランド⾷材が取り揃えられています。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況15

151位から160位

昨年の伸び率が500%超、155位の苫前町は⾵⼒の町です。どの⾃治体においても返礼品の開発は本当に⼤変です。⽇本海北部の好漁場で苫前町はその武蔵堆に⾮常に近いため、⽢エビを中⼼とした海産物を返礼品にさらに追加できれば⾯⽩いのではと思います。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況16

161位から170位

星野リゾートトマムがある166位の占冠村は観光の町であり、コロナ禍では⼤変だったと思います。これからインバウンド客も増加してくると思われます。返礼品は星野リゾートの宿泊ギフト券を加えたいところです。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況17

170位から179位

179位の島牧村は、狩場茂津多道⽴⾃然公園を擁し、奇岩や怪⽯の点在する海岸線、⾃然休養村に指定されている狩場⼭、⽇本名瀑百選随⼀の賀⽼の滝など⾃然に恵まれています。気候は温暖で温泉資源が豊富です。特産品はハチミツ・エビ⽢漬け・⽣⾵味うに・しらす佃煮があり、道の駅もあります。このように独⾃性ある産品に恵まれているものの⽣産量に限界があるため、返礼品にするには難しい⾯があるのかもしれません。しかし島牧村の産品の魅⼒は⼗分に⾼いため、今後の展開に期待が持てそうです。

北海道各自治体におけるふるさと納税活動の状況18

分析を終えて

寄付額には⼤変⼤きな差がありましたが、返礼品数とポータルサイト数で分析すると、ふるさと納税に対する考え⽅が各⾃治体で異なるのだろうな、と感じます。なかなか寄付を集めていない⾃治体に対してこそ、⺠間の⽀援事業者の協⼒を期待したいところです。別海町の寄付額16倍に伸びた例もあります。今回、寄付が⽐較的に集まっていない⾃治体でも返礼品は豊富な⾃治体はたくさんあります。すでに国内トップクラスの⾃治体がある⼀⽅で将来に⼤きな可能性を感じさせる⾃治体も多く、北海道の底⼒と多様性が改めて浮き彫りになった調査でした。

社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:⼤阪府⼤阪市
代表取締役:⻄⽥ 匡志(中⼩企業診断⼠、総合旅⾏業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、アドバイザリー、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/


株式会社ふるさと納税総合研究所のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/104918

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