【要約】
東京都世田谷区は、2025年度のふるさと納税による住民税の減収額が123億3,000万円余りと過去最大を更新する見通しだと発表した。区の人口は約93万人で、制度開始からの累計減収額はおよそ570億円に達している。一方、昨年度に世田谷区が受け取った寄付額は、返礼品を拡充したことで前年度比約2,100万円増加し、3億3,700万円となった。保坂区長は「123億円は学校を3校改築できる規模の予算で、制度を早く見直してほしい」と述べ、国に制度改正を引き続き求める考えを示した。
【コメント】
ふるさと納税制度は、地方の財源確保や地域活性化という目的を果たしている一方、都市部自治体に深刻な財政的影響を及ぼしています。世田谷区の場合、減収額が年間123億円に対して寄付による収入はわずか3億円台で、その差は非常に大きいと言えます。
一方で、制度によって最も大きなメリットを得ているのは、主に都市部に住む納税者自身です。返礼品を受け取りながら所得控除を受けられるため、住民は節税や消費の利益を享受しています。つまり、税収の流出は都市住民の利得の裏返しでもあります。
都市部の自治体にも、返礼品の工夫やプロモーションを通じて寄付を増やす余地はあります。実際に世田谷区も寄付額を増やしていますが、地場産品や地域性を訴求する点で地方に比べ不利な面があり、限界も指摘されています。
今後は、都市部と地方の双方が納得できる制度の在り方や、自治体間の財政調整の仕組みについて、より建設的な議論が求められるでしょう。
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