レポート

2022.08.03

『分析レポート』令和2年度ふるさと納税寄付額が歳入額に占める割合を分析しました。

〜令和2年度地⽅財政状況調査、令和3年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)を独⾃に分析〜
2022年7⽉29⽇に令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果が発表され、過去最⾼の約8,300億円の寄付額となりました。そこで、それらの影響⼒を調べるため、各⾃治体の歳出額の内、ふるさと納税額の占める割合を分析しました。
全⾃治体(都道府県除く1,741⾃治体)の合計では0.85%となり、最も⾼い⾃治体は北海道⽩糠町の49.1%となりました。ふるさと納税額の占める割合が10%を超える⾃治体数は59となりました。

分析の背景

ふるさと納税は寄付者の意志を表すことができます。いわゆる寄附の使い道を選択することができます。年々寄付額が増加するにあたり、寄付者の選択も増えてきます。また、⾃治体はその産業規模や⼈⼝に関わらず、創意⼯夫や努⼒によって、ふるさと納税額を増加させることができます。今回は総務省から発表されている令和2年度地⽅財政状況調査から令和2年度歳⼊額、令和3年度ふるさと納税に関する現況調査の結果から令和2年度ふるさと納税額を抽出し、分析することにいたしました。その割合が特段に⼤きければ、⾃治体財政規模にも関わらず、⾃治体に出来ること以上の全てを出し切って結果を出した、と⾔えます。結果として依存度が⾼いと指摘される可能性もあります。

「令和2年度地⽅財政状況調査、令和3年度ふるさと納税に関する現況調査の結果(総務省発表)を独⾃に分析」の主な結果

■1位から20位
1位から10位までに北海道の4⾃治体が⼊りました。⽩糠町、紋別市、根室市、弟⼦屈町です。特に⽩糠町は⼈⼝8,000⼈弱の町でありますが、⾃治体職員と返礼品提供事業者との信頼ある関係を軸に、豊富な地域産品のブランド化や在庫拡充など、で毎年上位となる⾃治体です。5位の⿅児島県⼤崎町も⼈⼝約12,000⼈の町ですが、マンゴーやパッションフルーツ等の様々な農産品やうなぎの養殖の⽣産量はトップクラスになっています。戦略的な視野と突破⼒がある⾃治体職員が事業者やパートナー企業との有機的なネットワークを構築し、また本来の強みである資源リサイクル率14回⽇本⼀のノウハウを活かしSDGs産官学の取組みとも連携することで、寄付額もファンも⼤きく増やしました。

自治体ごと歳入総額に占めるふるさと納税寄附受入額割合(単位:千円)1-20位

■21位から40位
25位の⻑崎県波佐⾒町町は波佐⾒焼が名産です。返礼品は2,000以上と豊富ですが、⼀つ⼀つの返礼品を丁寧に写真撮影し、コメントもシンプルにわかりやすくなっています。ブランドをしっかりと育てていきたいという⾃治体と中間事業者の戦略が明確です。40位の福島県磐梯町は約3,300⼈の⼩さな町です。農⼭村地帯で⼭紫⽔明な地域です。リゾートエリアでもあるこの町に、カメラ・レンズで世界的に有名な株式会社シグマ唯⼀の⽣産拠点があります。ほとんどの部品をこの⼯場で製造する、まさに「MADE IN AIZU」のシグマ製品が⼈気になっています。ふるさと納税等の関係から発展し、磐梯町と株式会社シグマは2020年に地域活性化を⽬的として包括連携協定を結んでいます。

自治体ごと歳入総額に占めるふるさと納税寄附受入額割合(単位:千円)21-40位

■41位から60位
50位の⻑⽣村は千葉県唯⼀の村ですが、⼈⼝は1万⼈を超えています。ふるさと納税は地域産品が豊富な町が有利になっています。しかし、加⼯割合(付加価値)が50%以上であれば地域産品として認められますので、加⼯会社とうまく連携し、返礼品の競争⼒をつけているようです。このようにルール内でいかに魅⼒付けをするかは、通常のECビジネスでは⼀般的ですが、⾃治体という組織内で柔軟に対応するのは容易いことではありません。

自治体ごと歳入総額に占めるふるさと納税寄附受入額割合(単位:千円)41-60位

■全国⾃治体の歳⼊額と寄付額について
これまで上位の⾃治体を分析してきました。全⾃治体で分析すると、以下のグラフの通り全国⾃治体の歳⼊額のうち、ふるさと納税額の割合は0.85%と⾮常に⼩さな数値になっています。

総歳入(77,423,161百万円)に占めるふるさと納税受入額の割合

今回の分析を通じて

ふるさと納税の総額が1兆円に届こうとしているタイミングにて、ふるさと納税の寄付額が歳⼊額に対して、どれほどの影響があるのかを分析しましたが、⾃治体によって⾮常に⼤きな差がありました。しかし全体で⾒ると1%に満たない割合です。⼤切なことは、今すでに実額で約8,300億円の寄付が集まっており、その寄付の返礼品が約3割とすると約2,490億円の返礼品が⽣産、加⼯、またはサービス提供されており、その何倍もの追加的な経済波及効果が地⽅に広がり、また雇⽤を創出していることを、忘れてはならないと再確認をする機会となりました。

社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:⼤阪府⼤阪市
代表取締役:⻄⽥ 匡志(中⼩企業診断⼠、総合旅⾏業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/


当プレスリリースURL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000104918.html
株式会社ふるさと納税総合研究所のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/104918

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